年収1000万円超でも負け組? 29歳女性の「産まない選択」
周囲の女性たちが、続々と出産ラッシュを迎えている。全員、30代前半でほぼ同世代だ。
「でも、私は産みません。子どもを育てる自信が持てないから」
九州出身の陽奈さん(仮名、29歳)。やはり地方出身の夫と、都心のマンションで暮らしてきた。世帯年収は1000万円を優に超える。
世間的に見れば「パワーカップル」なのかもしれない。でも、子どもを育てるには「全く不十分」だと思っている。
陽奈さんも、夫も地元では一番の優等生だった。だが上京して、「名門中高一貫校卒の夫」と「女子御三家出身の妻」、そんな絵に描いたような“勝ち組夫婦”がいくらでもいると知った。
「しかも、彼らが教育にかける金額、半端じゃないんですよ」
自分が子どもを産んだら、その“勝ち組夫婦”の子どもたちと競わせることになる。
「それじゃあまりにも、子どもたちがかわいそうだと思うんです」
母は「計画性がない」
2人姉妹の長女。母が言うには、「1人産んだら本当に可愛くて、もう1人産もうと思った」らしい。
だが、両親は妹が生まれてすぐに離婚している。保育士として忙しく働くシングルマザーの母に代わって、近くに住む祖父母が育ててくれた。
「私からしてみれば、母は子どもが可愛いというだけで産んで、結局は人の世話になって、計画性ないな、って思っちゃうんです」
小学生の頃、ある希少生物の魅力にはまって、自由研究で最優秀賞を取った。その成果は、地元のローカルテレビでも紹介された。「気持ち悪い」と自分を避けていた友達が「すごいね」と褒めてくれたのがうれしかった。
中学は近くの公立校に通った。教室は常に荒れていて、まともに勉強しているのは自分だけだった。
高校は、地域で随一の進学校。奨学金を獲得し、自力で旧帝国大学に進学した。「大学院に進学し、研究者になりたい」と言うと、母は「女の子は大学院なんか行く必要はない」と反対した。
母は、「留学したい」と言っても「大学院に行きたい」と言っても、協力してくれなかった。
「それで、親子関係というものを信用できなくなったのかもしれません」
キャリアアップのため複数回転職
大学卒業後は、世の中に埋もれている研究を広める仕事をしたいと考えた。東京で、研究所の広報の職に就い…
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