試験販売中の緊急避妊薬 「今後も薬局で」8割超が希望

近藤綾加
近藤綾加
緊急避妊薬
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 望まない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬(アフターピル)」。医師の処方箋がなくても、薬局で適正に販売できるか調べるための試験販売で、購入者の8割以上が「今後も医師の診察を受けず、薬局で薬剤師の面談を受けて服用したい」と答えた。厚生労働省が報告書で公表した。薬局での販売ニーズは高いとみられ、日本薬剤師会は市販化の課題や対応策についてより多くのデータを取るため、試験販売する薬局数を増やす方向で調整している。

海外より高いハードル

 緊急避妊薬は、性交後72時間以内に服用することで排卵を遅らせ、妊娠する可能性を低くする効果がある。妊娠阻止率は約8割で、避妊の失敗や性暴力による望まない妊娠を防ぐため、市販化を求める声が高まっている。

 世界では約90の国や地域で処方箋がなくても薬局やインターネットで購入できる。日本やイギリス、米国など8カ国を対象にした厚労省の調査によると、海外での販売価格は6000円以下。

 一方、日本では現在、医師による対面かオンライン診療を受けて処方箋を出してもらう必要があり、価格は7000~9000円で、薬を入手するまでのハードルは高い。

厚労省「一定程度のニーズある」

緊急避妊薬
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 試験販売は、日本薬剤師会が厚労省からの業務委託を受け、2023年11月末から全国145薬局で始まった。協力薬局は各都道府県2~6カ所で、原則、調剤の研修を受けた薬剤師がいる▽夜間や土日祝日も対応可能▽プライバシーが確保できる個室がある▽近隣の産婦人科と連携できる――の要件がある。対象は16歳以上の女性で、18歳未満は保護者の同意・同伴が必要となる。

 厚労省が5月に公表した調査事業報告書によると、試験販売が始まった23年11月28日~今年1月31日までの販売実数は2181件。最も多かったのは東京266件、次いで神奈川231件、大阪169件。一方、山口や山形など10件未満は5県だった。

 購入者へのアンケートは服用直後と服用後3~5週間の計2回実施し、1回目は1634人、2回目は1063人が回答。今後、緊急避妊薬が必要になった場合も処方箋なしに薬局での購入を希望した人が82・2%に上り、厚労省の担当者は「一定程度のニーズがあることが確認できた」と話す。

 面談した薬剤師の対応については91・8%が「とても満足」、プライバシーへの配慮も84・8%が「とても満足」と回答。また、薬剤師の説明を「よく理解できた」が99・8%を占めた。

 一方、「支払った費用」については、「とても満足」は38・4%にとどまり、高価格と感じている人が多いことがうかがえる。

試験販売の薬局、増加へ

 日本薬剤師会は、協力薬局をさらに追加する方向で調整を進めている。追加する時期は「未定」だが、購入希望者への対応や薬に関する説明を記載した薬剤師向けの資料の準備が整い次第、追加していくという。【近藤綾加】

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