想定外のDINKS 私の人生の「正解」は
漠然とイメージしていたのは、夫と一緒に子どもを育てる「普通の家庭」だった。だけど、結婚15年を迎えた今、夫との間に子どもはいない。東京都の会社員、直子さん(40歳、仮名)は5年前、「妊活」の言葉を自ら封じた。
出産ラッシュに「私たちは」
直子さんは恵まれた家庭で育った。中学時代は父親の仕事の関係で米国在住。帰国して東京都内の難関高校に進学し、難関国立大を卒業した。
大学時代からの友人と社会人2年目に結婚。交際期間が4年を過ぎ、「この人しかいない」。25歳の時、互いにそう思って婚姻届を出した。
仕事に精を出す日々。直子さんは営業職で深夜まで働き、朝まで取引先と飲むなど人脈づくりに忙しかった。業界は違ったが同じ「新人」の夫も同様だった。「子ども」について話し合うことはなかった。
30歳のころ、友人らが結婚し、出産ラッシュが始まった。
「私たちはどうする?」
直子さんが水を向けたところ、返ってきた言葉は「子どもがかわいいとは思えない」。
理由を尋ねたが、夫はうまく説明ができないようだった。
一方で、直子さんの仕事は順調だった。キャリアアップを目指して転職。ベンチャー企業の管理職として採用され、仕事にやりがいを感じていた。子どもを望んではいたが、夫に無理強いするものでもないと、自分に言い聞かせていた。
ひょう変した夫
子どもへの思いを態度には出していない「つもり」だったが、35歳の時、夫が突然に提案した。「妊活してみようか」
うれしかった。すぐに夫婦で一緒に産婦人科を受診した。しかし、それから1カ月もたたず、夫に異変が起きる。
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