どうする?「学校に行きたくない」 スモールステップを意識して
新年度が始まり、大きな環境の変化に戸惑い、学校に行きたがらない我が子に手を焼く親の声がSNS(ネット交流サービス)に相次いで投稿されている。どう対応したらいいのか。発達心理学の専門家は「泣いたり、渋ったりするのは、子どもが正しく成長している証拠です」と説く。
<朝は恐れていたガン泣きタイム>
<嗚咽(おえつ)しながら先生に連れて行かれた>
X(ツイッター)には、小学1年生となった我が子の対応に苦慮する親の声が相次いで投稿されている。法政大学の渡辺弥生教授は「大人は何事も早く解決しようとタイパ(タイムパフォーマンス)を意識しがちです。まず、子どもが何に不安を感じているかよく観察してほしい」と指摘する。
不安の原因は、必ずしも慣れない学校生活だけではない。朝の支度時間のスピード感についていけないケースがあるほか、きつい口調や態度で準備をせかす親のイライラが「感染」してしまうこともある。
新しい環境に不安を抱くのは大人も子どもも同じ。渡辺教授は「新しい場所にびっくりするよね」との声掛けなど、子どもの気持ちに共感し、言葉で伝えることが大事だとする。表情や声のトーンも大切で、心が伴わなければ「しかられた」と感じてしまうおそれがある。
目標を細かく分けて、簡単な内容から少しずつ達成していく「スモールステップ」を意識することも重要だという。
新しい環境になじむには、「安心感」が欠かせない。付き添って登校する際、同行する距離などを一方的に決めず、「今日はお天気がいいね」「ママも小学校1年生の時のことを思い出した」と会話するなど、コミュニケーションを取ることが大切だ。身支度に時間がかかる場合も「靴下は青か黒、どっちにする?」などと選択肢を示して子どもに選ばせる。こういった「自分で決めた経験」の積み重ねが子どもの自信につながるという。
子どもに怒ってしまう自分を嫌になる親は少なくないだろう。そんな人たちに、渡辺教授は「気持ちのラベル付け」を勧める。
イライラには怒りだけでなく、悲しみ、不安などさまざまな要素が入りまじっていることが多い。自問自答しながら、こういった要素を書き出してみると、我が子の行動ではなく、自身の仕事だったり、他の子どもとの比較が根源だったりする。
冷静に自己分析を重ね、解決を試み続ければ、いずれネガティブな感情をコントロールできるようになるかもしれない。
最後に、渡辺教授はこうエールを送る。
「テキパキと日々をこなすことよりも、ぼーっとしたり、まったりくつろいだり。親も自分で自分をいたわることが大事です」【近藤綾加】